教育理念
海上保安大学校は、海上保安庁幹部職員に必要な専門的知識及び特殊技能を修得する教育訓練のため、昭和26年(1951年)4月に創設されました。そのため、当校では、「人格の陶冶とリーダーシップの涵養」、「高い教養と見識の修得」及び「強靭な気力・体力の育成」を通した、海上保安業務の広範な職責を担うグローバルリーダーの養成を目的としております。
令和3年(2021年)4月、多様化・複雑化する海上保安業務に対応できる人材をこれまで以上に確保するため、本科とは別に、大学卒業者を対象とする初任科を設置しました。
入学者受入れ方針
本科
当校の本科学生採用試験(国家公務員採用試験)では、当校のカリキュラムの履修に必要な能力*を確認するため、基礎能力試験(知能・知識分野)、学科試験(数学・英語)、作文試験、人物試験、身体検査・測定及び体力検査を行っております。
初任科
当校の初任科研修生採用試験(国家公務員採用試験)では、当校のカリキュラムの履修に必要な能力を確認するため、基礎能力試験(知能・知識分野)、課題論文試験(時事的な問題・海上保安業務に関連した具体的な事例課題)、人物試験、身体検査・測定及び体力検査を行っております。
育成方針とカリキュラム方針
本科
当校では、本科4年そして専攻科6ヶ月の教育期間の後、業務研修(3ヶ月間)を経て、初級幹部職員として全国の海上保安部署に就くこととなります。
育成方針
本科では、幹部職員に必要な一般教養並びに海上保安業務に必要な高度な学術及び技能を修得するとともに、心身の練成のための実践の機会を設けております。このため、自主自律の精神に基づき、全寮制のなかで上級生の指導を通した信頼関係の醸成により、人格教育を行っております。
専攻科では、本科において修得した知識・技能を礎として、海上保安業務に関わるさらに高度な専門的知識を修得します。そして、約3か月間の「国際航海実習」を通して、幹部職員に必要な気力、リーダーシップ及びグローカルな視野の涵養を図ります。
カリキュラム方針
本科
第1学年では主に「基礎教育科目」、第2学年では主に「専門基礎科目」を履修します。第2学年後期からは、航海、機関及び情報通信に分科して、船舶運航に関する資格に必要な知識のほか、実践的な工学的知識を修得します。第3・4学年では、「専門基礎科目」に加えて「専門教育科目」を履修し、海上保安に関する専門的知識を修得します。
これらと平行して、全学年では、「訓練科目」において幹部職員に必要な指揮・統率力及び海上保安業務に必要な特殊技能を実践的に習得するとともに、「実習科目」において海上保安業務に必要な専門的知識・技能を習得します。また、第1・3・4学年では、「乗船実習」において船舶運航に関わる知識の定着とともに、幹部職員としての指揮・統率力の涵養を図ります。
専攻科
国際航海実習において、船艇初級幹部に必要な専門的知識及び技能の習得、そして国際交流を通したグローカルな視野の涵養により、優れた精神力、実践力及び統率力を習得します。また、授業科目においては、幹部海上保安官として海上保安業務を遂行する上で必要な高度且つ実践的な専門的知識を修得します。
初任科
初任科として1年間教育を受けたのち、特修科に編入され、現場から選抜された海上保安官と一緒に1年間の教育を受け、合計2年間の教育期間を経て、初級幹部職員として全国の巡視船等に配属されます。
育成方針
規律ある全寮制による人格教育を育成の根幹におきつつ、団体生活を通して相互錬磨とリーダーシップを体得させるとともに、幹部職員としてあらゆる業務・課題に対応するため、『組織への適応力』の向上を図ること、ひいては、長期の視座に立って、様々な分野・視点・経験から複雑化・国際化する海上保安業務を遂行できる人材を育成します。
カリキュラム方針
育成方針に則った教育を行うために、次の方針で教育プログラムを編成し、実践します。
初任科(1年目)
船舶職員としての職務を行う上での科である航海又は機関のうち一つの専攻を入学前に選び、「授業科目」においては、専攻する科の船舶運航にかかる資格取得に必要な知識のほか、海上保安業務を遂行する上で必要な基礎的知識を習得します。
これらと平行して、「訓練科目」において海上保安業務に必要な特殊技能を実践により習得するとともに、「乗船実習」において、船舶運航に関する知識の定着を図ります。
初任科(1年目)修了後、特修科に編入(2年目)
前期においては、航海科または機関科に分かれ、それぞれの科における初級幹部として必要なより高度な専門的知識及び技能を修得します。
後期においては、海上安全の確保及び海上治安の維持などの海上保安業務を遂行する上で必要となる法的知識や安全に関する知識のほか、海上保安にかかる専門的且つ実践的な知識・技能を修得します。
また、訓練及び乗船実習においては、それまでに修得した高度な知識・技能を定着させるとともに、幹部職員に必要な指揮・統率力の涵養を図り、海上保安業務を遂行する上での知識・技能を修得します。