第69期 第10号 米国沿岸警備隊士官学校(USCGA)学生乗船 米国沿岸警備隊(USCG)合同訓練

2023年6月5日

日時

 令和5年5月14日(日)

場所

米国カルフォルニア州サンディエゴ沖合

天候  ー

サンフランシスコ出港前日の5月12日、米国沿岸警備隊士官学校(U.S.Coast Guard Academy; USCGA)の学生4名をこじまへ迎え入れました。私達実習生は、次の寄港地であるボルチモアまでの18日間、U.S.Coast Guard Academyの学生とワッチと呼ばれる航海当直や寝食を共にし、交流を深めていきます。これは、日米海上保安機関の士官学校同士の関係性強化に大きく寄与するものです。

一方で、サンフランシスコを出港した翌日の5月14日、日米の海上保安機関の共同取組である「SAPPHIRE(サファイア)」の一環として、両機関の連携協力関係を一層強化することを目的とした米国沿岸警備隊(U.S.Coast Guard; USCG)との合同訓練を実施しました。乗組員のサポートを受けながら私達実習生が主体的に訓練を進め、U.S.Coast Guardに所属する船艇、航空機との通信や、こじまの甲板上にU.S.Coast Guardのヘリコプターからレスキュースイマーと称される救助隊員を降下させる救助訓練などを行い、他機関との連携を行う難しさや、合同訓練の必要性を感じることができました。

USCG合同訓練に参加した実習生のコメント

私は、現在こじまに乗船しているUSCGAの学生に向け英語で訓練の説明を行うアテンド役として訓練に参加しました。私達自身、初めての他機関との合同訓練であったため、英語で訓練の説明をすることに難しさを感じましたが、ジェスチャーやその他の表現を用いるなど様々な工夫を凝らしてUSCGAの学生とのコミュニケーションを図ることができました。このことは、まさに遠洋航海の目的の一つである「国際感覚の涵養」を達成することができたものと思います。アテンド役という大役をやり遂げることで得られた自信を持ち続け、今後の訓練においてその成果を発揮します。

(航海科 大西 謙吾)

救助訓練を行うこじまとUSCGヘリコプター
救助訓練を行うこじまとUSCGヘリコプター

私は、機関制御室配置として訓練に参加しました。機関制御室は機関室にあるポンプ類の起動やエンジンの操作等を行う区画です。今回の訓練において機関制御室配置は、非常事態に備えて消火栓や放水銃をいつでも使用できる状態にする作業や、エンジンの回転数を変化させることによる船速の調整などの役割を担いました。窓の無い目立たない場所における作業にはなりますが、機関制御室配置が担う非常事態に備えるという職務は、船や乗組員の安全を担保する上で重要なものとなります。この合同訓練において改めて機関科に課せられている責任の重さを認識するとともに、そのような職務に携わることができる機関科に誇りを感じました。

約半年後、主任機関士として現場に出れば、私達がこのような作業を監督しなければなりません。半年後をしっかりと見据え、この遠洋航海で確実に自身の能力を伸ばせるように目的や目標を明確に持ち、一つ一つの訓練を無駄にすることなく、精一杯頑張っていきたいと思います。

(機関科 野町 竜司)

こじま搭載艇がUSCG船艇に接近操船訓練を行う様子
こじま搭載艇がUSCG船艇に接近操船訓練を行う様子

私は、こじまに搭載されている小型艇の揚げ降ろしやUSCGのゴムボートがこじまに接舷する際の支援班として訓練に参加しました。甲板上で作業することが多くあったため、訓練全体の様子を見ることができ、合同訓練の規模の大きさを肌で感じることができました。米国と日本とのコーストガードの協力関係を深めるという重要な役目を持つこの合同訓練に参加できたことは海上保安官としての誇りであり、遠洋航海に参加できているからこそ経験できたものです。まだ現場に出ていない私達実習生にとって、この合同訓練は実働に近いものを感じることができた訓練でした。また、遠洋航海において、残りの訓練はもちろん現場赴任後の業務に対する新たなモチベーションとして、この上ないものを得ることができました。

(機関科 大野 真心)

USCGの船と機械の説明を受ける実習生
USCGの船と機械の説明を受ける実習生

USCGAの学生のアテンド担当として訓練に参加しました。USCGAの学生は、こじまに搭載されている小型艇の降ろし方や通信設備などに関して、USCGとの違いについて知ることができ、私自身も日本と米国で船艇の運用の仕方や装備が大きく異なることを知ることができました。また、初任科として入庁約二年の私にとって、USCGとの救助訓練やゴムボートの接近訓練は脳裏に強く焼き付く非常にインパクトの強いものでした。

今回のような合同訓練のみならず、海上保安大学校学生とUSCGAの学生間での交流を深めていくことが更なる組織間のパートナーシップを築いていくうえで大切だと思います。

(国際航海課程 岡部 由佳)

USCG船艇とエール交換を行うUSCGAの学生
USCG船艇とエール交換を行うUSCGAの学生

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